マッサージを受けると鼻水が出ることがあるとマッサージ業界で言われています。実際、風邪ひきでも花粉症でもない患者様がマッサージ中にだけ鼻水が出ることがあります。何とも不思議な現象です。
「マッサージ 鼻水」でネット検索すると、「AIによる概要」が出てきて、血行が良くなり、リンパの流れもよくなるので鼻粘膜が刺激されるからだと書いてあります。さらに、鼻が詰まるのは血液循環がよくなって鼻粘膜が腫れやすくなるから、と続きます。そして、マッサージによって副交感神経が優位になり、血管が拡張されることも影響していると説明されています。
要約すると
①血液、リンパの流れが良くなって鼻粘膜が刺激されると鼻水が出る。
②鼻粘膜が腫れて鼻が詰まる。
③副交感神経優位になって血行がよくなる。
このうち③は①の補足説明ですね。②は鼻の孔から通る管が狭くなるから詰まるってことかもしれません。わからなくはないです。不思議なのは①で、血液、リンパの流れがよくなるとなぜ鼻水が出るのか?説明になっているようでなっていないような・・・
「マッサージ 鼻水」と検索して「AIによる概要」の下にはマッサージ店や整骨院、製薬会社のウェブサイトが出てきます。鼻水が出る理由が書いてあるのはマッサージ店のウェブサイトで、鼻水に限らず汗、涙、尿といった体液全般が出やすくなり、それとともに老廃物が排出されるのでデトックス効果があるといったことが書いてあります。デトックス効果があるのはいいことですが、血液、リンパの流れがよくなると鼻水が出やすくなるしくみについては説明されていません。
マッサージ店のブログの中に「鼻甲介」というワードが出てきたので、これでネット検索してみました。「AIによる概要」が出てきて、鼻甲介は鼻の孔から始まる気道の中にあるヒダ状の粘膜だと書いてあります。そして、鼻甲介の粘膜には毛細血管が張り巡らされているため、血流が増えたり減ったりすることで鼻粘膜が腫れたり縮んだりを繰り返すそうです。するとたしかに、血液やリンパの流れがよくなると鼻が詰まりやすいというのはわかりそうですね。しかし、鼻水が出るメカニズムの説明にはなっていません。
やはり「鼻水」そのものをネット検索する必要がありそうです。検索すると、製薬会社のウェブサイトがトップに出てきました。鼻腔内では吸った空気を湿らしたり、鼻粘膜を守ったりするために少しずつ粘液が分泌されているそうです。この鼻粘膜にチリやホコリあるいは花粉や細菌、ウィルスなどがひっつくと、鼻粘膜の表面にある突起である繊毛が動いてベルトコンベヤーのように異物が鼻腔の奥へと粘液とともに運ばれて行きます。運ばれた異物は喉に貯留して痰として吐き出されたり、胃の中に飲み込まれたりします。鼻腔内はこうして常に清潔に保たれ、きれいな空気が肺の中に入っていくというしくみです。
そして、鼻水が出る原因としては主に感染症とアレルギー、血管運動性鼻炎と記されています。感染症では鼻粘膜にひっついた菌やウィルスを洗い流すために粘液が大量に分泌されます。これが鼻水と呼ばれるもので、鼻づまりは異物の侵入を防ぐために起きるという面もあります。アレルギーは菌でもウィルスでもない無害な物が害になる物と誤認されて起きる反応のことです。この記事のテーマは風邪ひきでも花粉症でもない患者様が鼻水を出す原因は?なので、血管運動性鼻炎とは何かを考えてみます。血管運動性鼻炎は寒暖差アレルギーともいわれていますが、マッサージを受けると寒暖差アレルギーになるのでしょうか?
血管運動性鼻炎で検索すると、耳鼻咽喉科クリニックのウェブサイトが出てきて、鼻粘膜の血管の腫れによって生じると書いてあります。その原因としては寒暖差の他、精神的ストレス、タバコの煙、妊娠などなんらかの原因がきっかけで自律神経のバランスが崩れて症状が現れるのではないか?と考えられているそうです。よくわかってないので、もしかしたら施術室内にある物が原因かもしれませんし、もしかしたら焚いているアロマの精油が患者様に合っていないのかもしれないし、考え出すときりがありません。
そこで基本に立ち返りましょう。血管運動性鼻炎というのは自律神経がかかわっているようです。なので、「鼻 自律神経」で検索してみます。すると「AIによる概要」が出てきて、交感神経優位の場合と副交感神経優位の場合に分けて説明されています。
・日中は覚醒していて交感神経優位になりやすく、鼻腔内の毛細血管が細くなるので鼻が詰まりにくい。
・夜間はリラックスしていて副交感神経優位になり、鼻腔内の毛細血管が太くなるので鼻が詰まりやすい。
感染症やアレルギーではなく、寒暖差がなくても鼻づまりは起きるみたいですね。しかも、リラックスしていれば鼻腔内の血管が拡がって鼻づまりが起きやすいということは、毎夜鼻が詰まることもあり得るわけですね。私どもが仕事でマッサージをしていて患者様がリラックスでき、副交感神経が優位になれば、鼻づまりが起きることもあるということになります。実際には、仕事していて患者様みんなが鼻づまりを起こすわけではありません。実際は1割程度ではないかと思いますし、1割の患者様が毎回鼻づまりを起こすわけでもありません。
ただし、マッサージを受けて鼻水が出るのはいいことだとは限らないようです。「鼻 自律神経」で検索すると耳鼻咽喉科クリニックのウェブサイトが出てきます。いくつか読んでみると「隠れ鼻づまり」というワードが出てきます。
「隠れ鼻づまり」で検索すると、日中覚醒している時は鼻がつまることはなく、夜間就寝時に鼻づまりになる症状だと「AIによる概要」で説明されています。ということは、マッサージを受けて副交感神経優位になって鼻づまりになったとしても、それは隠れ鼻づまりの証左なのかもしれません。
隠れ鼻づまりによって引き起こされる症状はいくつもあります。
・起床時に口腔、喉が乾燥する
・喉を傷める
・睡眠の質低下
・風邪をよくひく
・慢性疲労
・倦怠感
・口臭
・いびき
・集中力低下
以上のように多岐にわたる症状が生じますが、睡眠時無呼吸症候群と同様に他者から指摘されないと本人にはなかなかわからないものです。なので、マッサージ中に鼻づまりが起きた際、患者様に対していいことですよと申し上げる前にまずやるべきことは、上記のような症状がありませんか?と問診してみることです。
隠れ鼻づまりの原因としては次のものが挙げられています。
・鼻中隔湾曲症
・アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎
アレルギーや寒暖差アレルギーになったことがない患者様については、鼻中隔湾曲症を疑ってみることもできます。これは耳鼻咽喉科クリニックで診てもらわないとわからないことです。鼻中隔というのは左右の鼻腔を分け隔てる壁のことです。誰でも多少は曲がっているそうですが、鼻づまりの原因であったり、鼻水の流れを悪くするようだと耳鼻科の病気として診療されます。